【自転車チェーン注油についての考察】
上記の画像は、『CN-7901、CN-6701の比較』でチェーンを分解し、観察したも
のです。構造は比較的簡素なのですが、いろいろと注油については考慮すべき要
素もたくさんあると思います。あと、実際にペダルに負荷をかけてチェーンに張
力がかかった場合と、チェーン単体での場合の摩擦係数には当然違いもみられる
と思います。
新品のチェーンを包装から開封した時点で初期のオイルが塗布されているのは
ご存知かと思います。これを落とすのか、落とさないのかという選択についてま
ず検証してみる必要性があると思います。
オイルについては、『チェーン黒色化についての考察』で記載したように、潤
滑油の粘度によって付着物に変化が生じるのが確認出来ました。シマノのチェー
ンのように製造工程の最終過程でチェーンを洗浄し、防錆などの変質を極力抑え
る為に、比較的粘度の高いオイルが塗布された状態で出荷されている場合は、そ
のまま使用すれば早期にチェーンが汚れてしまい面倒です。付着した砂利や粉塵
を取り除く為にいずれ清掃、注油が必要になるわけですから、やはり、新品のチ
ェーンについては、程度の違いはあるにせよ、最低限初期オイルを減らしてやる
必要性があると結論づけます。
上記の画像は、チェーン側に染料を塗布し、クランクとスプロケットのどの部
分に接触しているかを視覚的に把握し易いものにした画像です。このクランクや
スプロケットというパーツは、前後の変速性能を決定付ける重要なパーツかと思
いますが、本当に関心するほど細かな技術が結集し、結実しています。
上記の画像を確認する限りではチェーン外プレートの内側についてはクランク
刃先と接触していません。ただ、変速過程に伴って接触が発生するので、チェー
ンについてはほぼすべての箇所において注油する必要性があろうかと思います。
チェーンの注油とは直接関係有りませんが、金属がどのくらい腐食するのか興
味があったので実験してみました。鉄が錆びるのは知っていたので、そのほかの
アルミやステンレス(SUS304系)について検証をしてみたのです。水、塩水(5%)
、D(ディグリーザー)、灯油をアルミ板とステンレス板に数滴垂らして経過を
観察したのですが、比較的すぐに気化して腐食などは確認出来ませんでした。仕
方ないので、金属プレートを切ってチップにし、各試験水にしっかりつけて(約
100時間)観察したのですが、残念なことに腐食などは発生せず、失敗に終わりま
した。塩水噴霧試験機などは通常の塩水噴霧に加えて乾燥や湿潤などを交互に加え、
非常に過酷な状態で金属の腐食試験を行っているようです。
腐食実験そのものは失敗に終わったのですが、なかなか良い知見は得られま
した。アルミ板とステンレス板で気化する時間に差があったのです。おそらく、
金属の表面処理の影響で油分などの広がりに差があり、広がりが多い場合は空
気に触れる面積も大きいので気化する時間も早い。ですから、チェーンに注油
するという視点で考えると、チェーンの金属の種類や表面処理は非常に重要な
要素だということが分かります。
ちなみになのですが、水、塩水、ディグリーザー、灯油、この四点の中で一
番気化(乾燥)するのが遅かったのはどれだったでしょう?正解はやはりディ
グリーザーでした。大して灯油などと変わりないなどと思ってましたが、やは
りチェーンを洗浄する目的に開発された製品なので、成分には違いがあるよう
です。
引用(ORIENTAL CHAIN MFG,CO,LTD/(C) Catalogue N0.0001)
チェーンの伸びについても触れておきたいと思います。一般的にチェーンが
伸びると表現された場合、金属のプレートが伸びて長くなったと解釈するのが
一般的かと思います。私も最近までそう思ってました。しかし、チェーンを製
造する会社のカタログには、はっきりと、ピンと内プレート(ローラーチェーン
の場合はブッシュ)の磨耗によってチェーンが伸びると記載されています(右
図)。よって、ペダルに力を込めてチェーンがしっかりと張っている状態では、
(左図)③、④の内プレートと⑥ピン及び外プレート接合部に張力が集中して
いることが確認出来ます。
引用(ORIENTAL CHAIN MFG,CO,LTD/(C) Catalogue N0.0001)
右図の引用画像はローラーチェーンの注油箇所を示したものです。ちょっとや
やこしいので省きますが、左図のブッシュレスチェーンも右図のローラーチェー
ンも断面画像は同じになります。「ブッシュレス」という表現があまりよくない
のです。実際は③、④の内プレートに仮の突起(ブッシュ)があって、内プレー
トの表裏(左画像③、④)を合わせたときにブッシュが出来ているのです。ただ
違うのは右図のブシュ中間に割り線が入っているかいないかです。
ディグリーザーでチェーンの初期オイルを洗浄した場合は左図黄色で示した箇
所に注油することが望ましいです。面倒くさくなければですが・・・。ただ、外
プレートと内プレートの交差面はほとんど隙間が空いてません。よって注油して
もピンまで届かない可能性が高いです。
引用(ORIENTAL CHAIN MFG,CO,LTD/(C) Catalogue N0.0001)
日常の注油作業については、上図の『ブラシ給油』(自転車の給油と簡易清掃)で
行うのが効率面からして最適との結論に達しました。ロードバイクの場合はRディレ
イラーでプーリーと外リンクが接触しているので、部分的に見れば内(上側)と外
(下側)に塗る必要性もあろうかと思われますが、先に述べたように潤滑油は金属
表面に浸潤する性質があるので簡略化して差し支えないでしょう。
大変グダグダと論じて参りましたが、最終的にチェーンの洗浄や注油は個人の
自由で、私が干渉するようなものではないと思います。チェーンの注油について
の絶対的真理がはっきりしない以上、どれが正解かなんてのは誰にも分かりませ
ん。己の信じる道を突き進むべし、といったところでしょうか。ただし、人様に
迷惑がかかる恐れのある洗車や注油(例えば火災の危険があるとか、チェーンが
破損する恐れがあるとか)は決して行わないでもらいたいです。
【結論】
①チェーンの洗浄や注油は最終的にユーザーの判断(自己責任)です。
②私は、新品のチェーンは洗浄しています。
③私は、黄色の箇所には注油してません。
④私は、ブラシ給油が効率が良いと思います。
⑤外国からアクセスがあるのはなんで?
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