【シャマルのメンテとハブの考察】
カンパニョーロのホイールはいいですね。分解が容易なのもさることながら、
部品ひとつひとつに、どこか拘りが感じられます。私も有名なホイールメーカ
ーの物は大体使ってきたつもりですが、どのホイールも単なる『車輪』としか
思えず、愛着が沸くような物ではありませんでした。ですから、次にホイール
をチョイスするなら間違いなくカンパのホイールを選びます。
決してシマノなどのメーカーが製造しているホイールが劣っていると言うつ
もりはありません。まだ最近ほど円安に傾いていない頃にシマノのWH-9000-C24
というホイールを新調したのですが、ハブは極めて滑らかで、『デジタルアジャ
スト』という機能で玉あたり調整も容易です。国内メーカー、比較的安価、リペ
アパーツも豊富と言う意味では、総合得点では敵なしでしょう。なのになぜ自転
車乗りはカンパに魅了されるのでしょうか?
まず一点目の理由としてはブランド戦略が功を奏しているのでしょう。他社よ
りもデザイン性に力を入れて、細部までこだわりをもって仕上げている。必然的
に他社よりも販売価格は高くなるが、それが逆にホイールのステータスを押し上
げる。通常、ホイールなんてものは壊れるまで使い続けるものだと思います。し
かし、『ブランド』戦略が成功すると、例えすぐに使わなくても所有することに
消費者の意義が見出され、喫緊に必要がなくても同じ商品を購入する。つまり、
女性がブランドバッグを何個も買うのと同じ心理で、誰も損をしない、win-winの
関係が成功するのです。
二点目は設計でしょう。正直私もロードバイクを乗り始めた頃は機材が重要だ
と思ってました。ただ、実業団のトップ選手なんかと一緒に走ってみると、異常
なくらいの練習量に発達した筋肉、こういう人たちはやはりどれを乗っても速く
走りますよ。自転車の場合は空気抵抗が大半なので、全面投影面積を少なくした
り、日々の小さな努力の積み重ねで速く走れるようになるのだと思います。なの
で、ホイールの設計だとかセラミック使用のハブを使ったりとかで、突然速く走
れるようになるものではないことは付け加えておく必要があります。
カンパのホイールの設計についてですが、一言で言えば『堅牢』に出来ている、
に尽きるのではないでしょうか。昔シマノのWH-7700なんか使ってましたが、スポ
ークも少なく、年月が経つとかなりヘタってきてました。自分で車輪を組めるな
どのメンテ上級者でなければ、やはり性能が低下することを消費者はシビアに受
け止めます。その点カンパのホイールは優等生と言えるでしょう。
三点目のメンテナンス性ですが、これはカンパを使用する機会があれば一度試
して頂ければ分かるかと思います。ちょっと長くなってきたので割愛します。
大変長くなりました。失礼致しました。もう6年以上前に買ったカンパのシャマ
ル・ゴールドの前輪ハブのガタがどうも最近大きくなってきた気がしました。思え
ば、昔はノーメンテでドシャ降りの雨の中二時間近くの練習をしていたので、ガタ
が来るのは当然でしょう。ただ誤解がないように。あくまでもホイールをもって空
転させた時に少し鋼球がコロコロする程度で、実用上全く問題はないレベルです。
そういう意味では、カンパのホイールはやはり丈夫ですよ。
シャマルの整備や分解については、ネットで溢れんばかりの情報が掲載されてい
ますので、あえて同じ工程は載せる必要もないでしょう。なるたけ端折ります。
5mmの六角棒2本と2.5mmの六角棒一本で前輪ハブを分解しました。玉押し
(HB-RE-022)にどうも消耗があるようで一度交換することに・・・。
円高の時はカンパグリスLB-100も二千円台で購入できたのに円安の今では(
2015年現在)4千円オーバーです。なんか販売も中止されるとも聞くし、
どうなるんですかね?ピーナッツバターのようなグリスが復活するのでしょう
か、それともLB-50とか廉価版に変わるのでしょうか、動向が気になります。
カンパグリスは匂いも粘度もすごく好きなんですけど価格だけがネックです。
なので直接ハブの駆動と関係ない箇所は全部シマノグリスで代用してます。シ
マノグリスは洗ってもなかなか落ちないので嫌なんですよね。逆にそこが利点
なんでしょうけど。
掲載した画像と記述にずれががありますがご愛嬌で。私が持っているシャマ
ルは二本とも少し古いバージョンです。USBとかCULTとかハイスペック
なものはまだ未導入です。その代わり鋼球はセラミックに比べると激安(一個
約2円)なので、私はハブのメンテの際は鋼球は全部新品に交換しちゃってま
す。このへんは、メーカー推奨ではないのであくまでも自己責任で。
鋼球/拡大率100倍
大変下らない記述になってしまって恐縮です。この最後の部分について書きたい
が為にハブの紹介をしたのです。要するに、ホイールのハブの中で鋼球が回転して
いるが、①鋼球や玉押しに優位な磨耗が発生しているか?②鋼球に初期位置があっ
て特定のラインで磨耗が発生しているか?について考えを廻らせていたのです。
①については優位な磨耗は発生していませんでした。玉押しにはうっすらと塗装が
擦れとられた痕は残ってましたが、鋼球側には倍率100倍で確認する限り優位な
磨耗は見受けられません。②についてですが、私が思うに、鋼球をハブ内にセット
して組み立てた位置が初期位置で、その後特定のラインだけが玉受けに接している
と着目していたのです。ですが、数万キロ走った後の鋼球を細かく観察してみても、
特定の部分に磨耗や変形は確認出来ませんでした。つまりは、鋼球はほぼ磨耗して
いないということになります。よって、鋼球側で特定ラインで玉押しと接触があっ
たかの確認はとれませんでした。ベアリング等の鋼球の磨耗については、均等に磨
耗がすすむとの結論もあるようです。自転車については確かな論文などはないので
不明です。
非常に難しいところでもあるのですが、実際フロントハブの玉押し側を顕微鏡で
覗いてみると細かな線や凹凸も見て取ることができました。これが切削によってで
きたものなのかそれ以外なのかは不明ですが、今回のハブの微妙はカタカタ感は、
玉押しの損傷(一箇所のフレーキング)によるものであったのは確認がとれました。
仮にハブ内部に微少な粒子が流入して玉押しに傷を与え、それが次第に大きくなっ
ているのだとすれば、定期的なグリスの封入などはじめ、あらゆる方面から気密性
を高めることが、ハブの各種部品の耐久性を高め、回転性能を最も効率化させるの
に有効ではないかと推測しています。
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